大切な人が亡くなると、葬式や周辺への気配りで多忙を極めることとなる。
全てが無事終わり解放感に満たされると同時に故人に対する寂寥感も募ってくる。
そんななかで漠然とした不安感が頭を擡げてきて、あれこれ考えを巡らせていくうちにあっという間に時だけが過ぎていく。
不安の種類は金銭的なものであったり、将来に関するものであったり人によって様々だ。
誰もが貰えるのに、多くの方が損をしている可能性が高い葬祭費・埋葬料
当コラムでは、そんな不安を少しでも解消できるちょっとお得な話しについて綴ってみたいと思う。
結論から言うと、それは公的保険から支給される葬祭費・埋葬料のことだ。
公的保険とは国民健康保険と健康保険のことである。20歳以上の方ならば、必ずどちらかの保険に加入しているはずなので、葬祭費・埋葬料の受給権利が得られる。
具体的な方法は長文となってしまうためここでは割愛させていただくが、加入している保険によって窓口や手続きが異なり、支給額も幅があるためご注意を。(参照リンク:葬祭費・埋葬料について)
ちなみに筆者の税理士事務所勤務時の経験上、葬祭費・埋葬料の支給制度を知らないご遺族が多かった。説明をすると喜んで頂いたが、あるご遺族の言葉が今でも耳に残っている。知らないだけで損をすることがあるのね、と。
【ポイント1】遺族が2年以内に直接申請することが必要!
さて、この制度で厄介なことがある。
それはご遺族が窓口にて直接、葬祭費・埋葬料の支給についての申請をしないと、支給を受けることができないことだ。更に時効があることも忘れてはならない。
葬儀の翌日(亡くなった日の翌日ではないので注意)から2年以内に申請しないと時効となり権利が消失してしまう。失念していたというような言い訳は一切認めて貰えないのだ。
可能であれば、生前に自分の加入している公的保険について、色々確認しておくことを強く勧めるものである。折角支給を受けることができるにも関わらず、失念等により権利を失ってしまっては勿体ない。
【ポイント2】葬祭費・埋葬料は非課税!
この制度は厄介なこともあるが、金銭的な利点の他にもう一つ利点がある。
それは、所得税が非課税であることだ。本来ならば、給与や年金、家賃等の収入の他に一時的な収入があった場合には、所得税の確定申告をしなければならない。しかし、葬祭費・埋葬料を受給した場合は、所得税法の規定により所得税が非課税となり、所得税の確定申告をする必要はない。
金額的には僅少ではあるし、手続きも厄介な面もあるが、是非この制度を活用し、精神的な安定を図ってほしい。