遺影とはーーこれに関しては特別説明は必要ないでしょうか。一応述べておくと、お葬式のときに祭壇に飾られ、そしてお葬式後は仏壇に飾られることが多い、故人の写真のことです。
そんなの知ってるわ!という声がそこかしこから聞こえて来そうですが、話を進める前に言葉の定義をするのが筆写の癖とでも思って頂ければ幸いです。
遺影といえば、仏壇に飾る写真?
さて、この遺影ですが、今まで一度も見たことが無いなんて方ももしかしたらいらっしゃるのでしょうか?
仮に実物を見たことが無くとも映画やドラマなどでなら目にしたことがあるでしょうか。お葬式に一度も参列したことがなく、祭壇に飾られている遺影を見たことが無いという方なら「一度も見たことが無い」という方よりは多いかもしれませんね。
筆写は「遺影」というとお葬式の時の祭壇の写真よりも、お線香をあげて「チーン」と鳴らすお鈴の前に置かれている、つまりはお仏壇に飾られている写真を思い出します。
何故なのか、特にこれと言って思い浮かぶ理由は無いのですが、お葬式に参列する機会よりもお仏壇の前で手を合わせる機会の方が多いからでしょうかね。そこには筆写が産まれる前に亡くなったため会ったことはない、曽祖父母…ひいおじいちゃんやひいおばあちゃんの遺影も飾ってあります。
気持ちの整理がついた状態で見る仏壇の遺影
ここでふと、思いついたことがありました。それは、お葬式に参列した際に目にする遺影と仏壇の前で目にする遺影ーー同じ写真であったとしても、その写真と対面するときのこちら側の心持ちには大いに違いがあるのではないか、ということです。
お葬式で故人の遺影を見るときは、故人を失った悲しい気持ちでいっぱいでその写真を見る目にも涙を浮かべていることが多いのではないでしょうか。そもそもお葬式とは亡くなってすぐに執り行われる式であるため、それも当然の反応と言えるでしょう。そしてもちろん仏壇に飾られた写真であっても故人の死後、立ち直るまでは悲しい気持ちで見つめることもあると思います。しかし気持ちの整理がつき仏壇の遺影に向かい合えるようになった頃には、その遺影を見ても悲しい気持ちでいっぱいになることは少ないのではないでしょうか。
遺影と聞いて、誰を思い浮かべますか?
筆写は仏壇の前で手を合わせるとき、飾られた遺影を見て写真の中の笑顔に話し掛けたり、近況報告をしたりします。
何か節目となるような大きな出来事があった後には手を合わせながら、そうしたことの報告もしていました。
こうした心持ちの違いが、筆写に葬儀のときに祭壇に飾られた写真ではなく、仏壇の前に飾られた写真を思い起こさせるのかもしれません。
「遺影」という言葉を耳にしたとき、あなたは誰の笑顔を思い浮かべますか?