先のコラムでは、「冠婚葬祭」のうちの「葬」の特殊・異質性を強調したが、もちろん類似の部分も多く存在する。
そのひとつが、人との出会いの場だ。特に年頃の男女が問題だ。
お葬式も、潜在的に出会いの場になっている?!
男女の出会いの場(ここではおそらく結婚まで行ったケースを対象にしている)についてインターネットで少しだけ検索してみた。
出会いの場のランキングでは、結婚式がちらほら見えるだけでさすがに、「葬式」はどこにも顔をみせてはいない。
このことについては非常に残念でならない。
しかしながらある非常に小さい割合ではあるが「葬式」が潜在的に、出会いの場になっているのではないかと内心は思っている。
実際に存在したお葬式カップル
これは、わたしの職場の同僚の結婚式の二次会の席でのことだ。
彼女は悪友たちから「見合いと聞いたが、ほんとうはどうなのよ」という詮索にあった。
耐えかねてか相手の男性が「じつはある葬儀のときに出会った」と漏らしたのを聞いたことがあるからだ。
どうも通夜の席で「あるテレパシー」が働いたらしい。
相手の男性は故人の会社関係からの出席だったが、葬式という性格上親戚身内の年頃の顔がそろうため、うまく誘導すれば絶好の男女の出会いの場になるかと思うがいかがだろうか。
私自身も、親戚の葬儀の際に、叔母からわたしを遠い親類の独身男性へ紹介されて、露骨に「お似合いよ」などと言われ閉口した経験がある。今から考えると、多少話に乗ってみてもよかったかなとも思っているから不思議だ。
ケースバイケースではあるが、お葬式が出会いのキッカケになってもおかしくない?!
先に記した、出会いの場のランキングでは、結婚式でのデメリットとして、結婚式での着飾った女性と普段着の女性とのギャップが問題視されていたが、葬式ではそういう極端なこともあるまい。
繰り返すが葬儀は、手間暇かけて大勢の人間を呼び集めるわけだから、公共性も帯びている。副次効果があってもよい。故人の死因が不慮の事故であった場合やお子様がなくなった場合などを除いては、参列者同士の男女の歓談があるほうが自然ではあろう。
またこのような観点もあることを頭にいれておくと案外と葬儀の準備も前向きなものになるような気がする。葬儀のあり方に一石を投じることになる。故人も計らずも「月下の氷人」となるが、まさか嫌な顔はしまい。