春分の日と秋分の日をはさんだ前後3日を含む7日間が彼岸です。暑さ寒さも彼岸まで――という言い回しどおり、彼岸を過ぎると、気候の変化がくっきりとしてきますね。
春分の日を過ぎると「雪の心配はもうしなくてもいいな」というのどかな天気になり、秋分の日を過ぎると「猛暑日はもうないだろうな」と涼風にほっとするものです。
移ろいゆく四季の節目どきが彼岸に当たるといえるでしょう。この、大事な季節の変わり目を、もう少しだけ詳しくチェックしてみましょう。
体調管理が難しい、季節の変わり目
季節の変わり目の頃は、日によって、あるいは時刻によっての寒暖の差が激しく、体調が乱れがちです。
だるさを感じたりすることが多いですね。
春はアレルギーや花粉症が発症したり、秋は暑気による疲れがどっと出る頃でもあります。
気温が変わると、体のギアチェンジがこまめに必要になり、自律神経に乱れが生じがちです。
そして、体調不良を感じると、体の限界を意識し、自らの命に対する漠然とした不安も覚えるものです。
昼と夜の長さが同じ日である「春分の日」と「秋分の日」
春分の日と秋分の日は、昼と夜の長さが同じ日で、太陽が真東から昇り、真西へ沈む日です。
仏教では、煩悩に満ちた世界を此岸(しがん)といい、それを脱した悟りの世界を彼岸といいます。そして、太陽が昇ってくる東を此岸の方向と考え、太陽が沈む西を個人の世界=彼岸と考えています。
生者から故人への思いが一番通じやすくなると考えられている日が、太陽が真東から上り、真西へ沈む日――我々が悟りの世界と最も通じやすくなるときなのだそうです。
日本だけのオリジナルな行事 「お彼岸」
いわゆる「お彼岸」というしきたりは、インドなどにはない、日本だけの行事です。
おそらく、日本における季節のくっきりとした移り変わりと、稲作をベースとした春の種まきから秋の収穫へという大きなサイクルと結び付き、自然の恵みに対する祈りや感謝と、自らの体を意識しつつご先祖をしのぶ気持ちが一緒になって、行事化したのではないでしょうか。
「春分の日」よりも「秋分の日」の方がやや供養の気持ちが強い日
「国民の祝日に関する法律」というものがあります。
「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日が祝日だそうです。
春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」。秋分の日は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ日」と規定されています。
秋の方がややご供養の気持ちが強いようですね。ともあれ、ご先祖がいるから今がある、自然の恵みで我々は生かされているということをしみじみと実感するのは、とてもありがたい、心を豊かにしてくれる素敵なことです。季節の節目に、自分の心にも向き合ってみる――それが、「お彼岸」なのかもしれません。