名作『二十四の瞳』を御存知の方も多いのではないだろうか。瀬戸内海に面する村を舞台として、戦争の悲壮さを描いたものである。名作には直接関係は無いのだが、つい先日相続人が二十四人も存在するというとある案件を筆者が手伝った際、唐突にこの作品を思い出してしまい、案件終了後外出を控えている現在この名作を読書中なのである。
相続人の人数が多いと揉めることが多い
ここまで相続人の人数が多い相続は稀ではあるが、確かに存在する。そして、当然ながら揉めることが多い。もしも早い段階で相続人の人数が多いことが分かっているのならば、相続対策として遺言書を作成すると同時に信頼のおける親族か弁護士等の専門家を遺言執行者に選任しておけば、円滑に相続手続きを勧めることができる。
遺言執行者を選任しておけば相続手続きが簡単になる
遺言執行者とは、遺言書に記入されている内容について、関係法令に従い手続きを進めていく人のことを言う。遺言書に土地は長男に相続させ、別荘は長女に相続させ、自宅は配偶者に相続させると記入されていた場合、法務局で所有権移転登記の手続きや、金融機関等での諸手続きを執行する時には、相続人全員の印鑑証明書が必要となる等相続人全員の協力が必要となってくる。一人でも欠ければ手続きが執行できなくなる。だが、予め遺言執行者を選任しておけば、印鑑証明書を必要とせずに相続手続きを進めることが可能となるのだ。
遺言執行者は必ず選任しなければならないわけではない
遺言執行者について、選任は必須ではない。前述のように相続人が多数で揉める可能性がある他、必要書類が期日までに揃わない場合や遺言書の内容に非嫡出子の認知が包含されている場合、相続人の廃除または廃除の取り消しがある場合には遺言執行者を選任しなくてはならないが、特に問題がなければ選任する必要はないのだ。選任する場合は遺言書にその旨を記載すれば良い。他には家庭裁判所に申し立てを行い選任することも可能だ。
遺言執行者の候補者とは?
遺言執行者に選任される人は、配偶者や子と言った相続人やその親族、弁護士・司法書士・税理士と言った専門家だ。
遺言執行者選任のメリット・デメリット
それぞれのメリットデメリットを解説してみると次のようになる。相続人や親族が遺言執行者に選任された場合、メリットは内部事情を知っているので段取りや手続きが円滑に進められることが挙げられる。デメリットは、遺言執行者自身がトラブルの原因になることがあることと、相続財産が多額だと手続きが煩雑となり、大きな負担となってしまうことだ。
弁護士等の専門家が遺言執行者に選任された場合、メリットは相続人や親族の負担が軽減されることだ。更に、トラブルも第三者の介入により解決しやすくなる。デメリットは、手数料がかかることと、他の相続人や親族に相談せず勝手に選任すると、他の相続人とトラブルの原因になることだ。
専門家へ相談することが重要
遺言執行者について触れてみたが、事前に自分達に必要か否かを判断しつつ税理士や弁護士等の専門家に相談してみると良いだろう。必要なければそれで終わりだが、必要であればそのまま依頼すれば解決するはずだ。