究極の相続税対策とは何かと問われると、筆者としては亡くなる直前までに財産は無いけど、借金も無い状態にしておくこと。欲を言えば自分の葬儀費用のみ残しておけば良いと言える。しかし、これは筆者の個人的な理想論である。では他に何があるのかと言うと、財産を国や都道府県、市町村に寄付することだと言える。
生前に寄付するか、死後に相続人に寄付してもらうかのどちらか
寄付の方法だが、具体的には二つある。一つ目は、財産を有する人が生前に実施することである。二つ目は、財産を有する人が亡くなった後、相続人達が実施することになる。生前に実施する方法だが、一般的なのは遺言書を作成し贈与という形で実施する。他には、死因贈与と言って私が亡くなったらこの財産を贈与する。と言うように、自らの死に準拠して財産を贈与することだ。この死因贈与は、弁護士に死因贈与契約書の作成を依頼した方が合理的だと考える。次は相続人達が実施する方法だが、相続財産寄付と言って、相続人達が協議して寄付先を探して寄付することだ。
相続税対策として財産を寄付するメリット
寄付のメリットは、社会貢献ができること。国や都道府県、市町村に寄付すれば相続税の軽減ができること。相続に関するトラブルを回避できることが挙げられる。
相続税対策として財産を寄付するデメリット
寄付のデメリットは、完全には相続に関するトラブルを回避できないことだ。前述のように遺言書や死因贈与契約について、相続人達が無効を争う裁判を起こす可能性がでてくるからだ。ただ、安心して欲しいのは、民法上の規定により正確に作成された遺言書において、無効とされる判決がでるのは稀なのだ。また、国や都道府県、市町村に寄付する場合だと、寄付を拒否される可能性があることだ。現金ならば問題無いのだが、有価証券や不動産だと価値が無いと見做されれば寄付を受け付けて貰えないことがある。
財産を国に寄付する。結果的に相続税を国に納付するのだから、相続で揉めてしまう位ならば、いっその事全財産を国に寄付すれば良い。そうすれば、相続税を納付しなくて済むだけではなく、揉める必要もなくなる。このように考えて財産を寄付すると決定した場合、今一度熟慮した方が良いと考える。全ての財産を国へ寄付してしまった場合、遺留分侵害額請求(2019年6月以前は遺留分減殺請求)の訴訟を相続人達が起こす可能性もあるし、国が寄付を拒否する場合もあるからだ。
まずは専門家に相談がオススメ
究極と言う言葉は裏を返せばそれが限界であると言える。自分と家族にとって何が必要で、どうしたら相続の円満解決に繋がるかを確りと考えて欲しいと願う。その際には、一人で悩まず家族と相談し、税理士や弁護士等の専門家に相談すれば、より良い解決に繋がるのではないだろうか。