枕飯 一膳飯とは?
枕飯とは、故人が生前使用していたお茶碗にご飯を山盛りによそい、箸を垂直に立てて挿したものをいいます。別名を「一膳飯」といいます。
仏式においては、故人を通夜までの間安置しておく際に、ご遺体のまわりに置かれる枕飾りのうちのひとつです。
枕飯の準備や用意は以下のようになります。
まず、故人が生前使っていたお茶碗を準備し、そのお茶碗すり切り一杯ぶんのお米を量ります。量ったお米は釜で炊いて、先ほどのお茶碗に盛り付けます。
このとき、炊いたお米は残さず全て使用します。水分を含んでいて量が増えているので、お茶碗にかなり高い山盛りの盛り付けになります。お茶碗を二つ使うことで、米をきれいな高盛にすることができます。
その後、盛り付けたお米に 故人が使用していた箸を垂直に立てて挿します。箸の挿し方ですが、二本を垂直に立てるケース、二本の箸が一本に見えるような挿し方をするケース、一本は縦に垂直に挿し もう一本は横に挿して十字に見えるようにするケースなど、宗派や地域によって細かな違いが見られます。自分の家がどの形で挿せばよいのか、事前に確認を取っておくと良いでしょう。
枕飯は故人が亡くなった当日から作るものとされており、通夜が終わって火葬されるまでの毎日、作り替えて新しくします。通夜の日に作るという地域もあるそうです。作った枕飯は半紙などの紙に包み、火葬前に棺の中に入れます。
また、枕飯に使った故人のお茶碗ですが、これは使用後割ってしまう習慣があります。これは食器を割ることによって、死者に決別を悟らせるためであると言われているそうです。そのため 枕飯に使用するお茶碗は、割ってしまっても大丈夫なものを選びましょう。
ちなみに枕飯の由来は諸説あります。例えば 米を使って死者の霊魂を呼び寄せ、蘇生させようとする呪術である「魂呼び」の一環であるという説や、白米食べたさに死者が蘇るのではないかという遺族の願い、また黄泉への旅路でのお弁当として供えたという説などが有名です。
子供の頃、自分のご飯に箸を突き刺したり 立てていたりして、「行儀が悪い!」と親から怒られた経験はありませんか? これはやはり、箸を挿したご飯というものが 枕飯であって死者のためのものである、という風習で 生きている人にとっては大変演技の悪いものであるとされているからでしょう。
宗教や地域に関わらず、ご飯を食べるときに箸を挿すという行為はマナー違反と受け取られますので避けましょう。
枕飯 一膳飯の豆知識:「枕団子」は枕飯の親戚?
枕飯と同じような風習の中に、「枕団子」を作る、というものがあります。お供えする意味合いとしては枕飯とほとんど一緒です。枕飯のご飯が お団子にすり替わったバージョンであると捉えても良いでしょう。枕団子は枕飯と一緒にお供えされます。
その数は地域によって様々ですが、特に東京では 6個とするのが一般的なようです。これは仏教における「地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上」の六つの世界(六道)の象徴であるとされています。他の地域では6個の他に11個という数が多く用いられます。