手水の儀とは?
神式の葬儀の時に行う儀式のことです。ご神水によって穢れを落とし、身を清めるために行います。
お通夜、納棺の儀に入る前の、セレモニー会場入口付近で行います。神式の葬儀では出棺のあと後祓いの儀というものを行います。神道では死は穢れであるとされていますので、神職によってお祓いや手水の儀を行うことを言います。この儀式によって死の穢れを清めるのです。
その後、火葬場から戻ってきた遺族たちは建物に戻る手前で、また手水の儀を行います。
具体的にどういった手順で行われるのかと言いますと、会場の入り口にはご神水の入った手桶が用意されています。ひしゃくでその手桶からご神水を汲み上げます。そして順番に、左、右、と手のひらに少しずつご神水をかけ、次に左手でご神水を受けて、それを口に含み、軽くすすぎます。それから左手にまたご神水をかけて洗い、残ったひしゃくのご神水は、ひしゃくを立てて柄につたうようにしながら全て流してしまいます。最後に懐紙で手と口を軽く拭いて、手水の儀はこれで終了です。
これは神道では、神聖な場所に入るための儀式として必ず行われるものとして知られている儀式のひとつです。神社の境内の入り口には、必ず手水所があるのもそのためです。現世の穢れをご神水によってここできれいに落とすのです。ですから神社でも手水の儀のやり方は同じです。
手水の儀の豆知識:塵手水
相撲は日本の国技です。相撲にはさまざまな儀式が存在します。それはその誕生から長い歴史によって積み重ねられてきた結果だと言えるでしょう。もともとは宮廷の行事として天皇や貴族に親しまれていたものが、ルール化され洗練、様式化されスポーツとしての形態を整えつつ、次第に伝統文化となっていったのです。洗練の結果として神事と結びつくことは、必要不可欠だったといえるでしょう。
土俵上の相撲取りの、さまざまな所作にそれが一番感じられる瞬間ではないでしょうか。
塵手水の所作は、昔、まだ野天で相撲をとっていた頃のこと、近く水がなくてご神水の代わりに草についた露で手のひらを清めたことが始まりとされています。塵手水を略して塵を切るとも言います。土俵の上がる所作として、まず前の取り組みで勝った力士から力水をつけてもらいます。その力士が水桶よりひしゃくで水を掬って渡してもらいます。ご神水で体を清めるという意味があります。いわゆる手水のような所作になります。その後つま先立ちのまま腰をおろす蹲踞の形をとります。そしてそのまま柏手、揉み手、両腕を左右に開く、上を向いた手のひらを下に返す、この一連の行動を塵手水といいます。