臓器提供とは?
臓器提供とは、その名前の通り、臓器を他の人に提供することをいいます。脳死後、あるいは心臓が停止した後に臓器提供が可能となります。その条件としては、生前に臓器提供の意思を表明していること、表明していない場合には家族の承諾が必要となります。脳死後に提供できる臓器は、心臓・肺・肝臓・腎臓・膵臓・小腸・眼球です。脳死とは、脳全ての機能が停止して、元には戻らない状態のことです。そして、心臓が停止した死後に提供できる臓器は、腎臓・膵臓・眼球です。
現在、臓器提供の意思表示の方法は3つあります。一つ目はインターネットによる登録です。公益社団法人日本臓器移植ネットワークのホームページで行うことができます。二つ目は個人が保有する各種本人確認書類への記入です。運転免許証・健康保険証・マイナンバーの個人番号カードにある臓器提供意思表示欄に自分の意志を記入します。三つ目は、上記の3つの書類を保有していない人が意思を記入する、臓器提供意思表示カードというものがあります。市区町村の役所の窓口や病院などでそのカードをもらうことができます。
臓器提供の豆知識:臓器提供数世界一の国
「臓器移植先進国」と呼ばれ、過去25年間臓器提供・移植件数世界一を走っているのがスペインです。2012年のデータによると、人口100万人に対する臓器提供者数で、日本が0.9人であるのに対し、スペインは34.8人にものぼります。その取り組みは世界でも注目されており、「スペイン方式」と呼ばれています。まずスペインでは、臓器提供について本人が「拒否」の意思を表示していない限り提供可能とする「オプト・アウト方式」がとられています。この方式はフランスやベルギーでも採用されています。
そして、スペインには独自の移植コーディネートチーム体制があります。1989年に設立された移植のための組織「ONT」によってコーディネーターが訓練されますが、そのほとんどが医師です。全ての医療機関にそうして訓練された医師・看護師による移植コーディネートチームが配備されており、ONTと連携して患者とドナーをうまく結びつけることのできるシステムが構築されています。臓器提供は、日本でももちろん、世界でも宗教上の問題や倫理上の問題、裏社会で行われる臓器売買などの問題があります。その中でもスペインは国が一つとなりシステムを構築し、国民の臓器提供に対する意識の向上にもつなげているのです。