突然心当たりの無い相手から、自分宛に郵便物が送付された経験を有する方は一体どれほど居るのだろうか。内容がアダルトサイトの閲覧料金の督促や、利用したことのない通販サイトからの督促だった場合は思い当たらなければ無視して良いだろう。しかし、相手が税務署であったならば内容について注意深く確認した方がいい。そして、内容が相続税に関するものならば尚更だ。税務署が納税者に対して、税に関する内容を税務署が確認する書面を送付することがある。当該書面を「お尋ね」と呼ぶ。例えば確認する税が相続税ならば「相続税のお尋ね」となるのだ。今回は、相続税のお尋ねについて簡単に解説してみよう。
お尋ねとは?
財産を所有している者が亡くなり、相続が開始されてから概ね六ヶ月から八ヶ月経過した段階で、被相続人が生前に居住していた住所地を管轄する税務署から相続税の内容に関して、相続人の状況や遺産の状況について税務署が確認するために封筒にて送付される。
目的は税務署が相続人並びに遺産について内容を確認のうえ把握することと同時に、相続税の申告期限までに申告を促すことだ。封筒の中身だが、税務署への返信用封筒と相続税の申告要否検討表、そして状況によっては相続税の申告書も同封されている。税務署から封筒が送付されたことで、脱税や不正行為を疑われているのではと不安になるものだが、過度に心配する必要はない。所定の欄に財産の明細並びに各相続人の住所地と氏名を記載し、指定された期日までに送付すればよい。
なぜお尋ねが届くのか?
人が亡くなると、戸籍法の規定により死亡届を各市町村に提出する。各市町村は相続税法第58条の規定により、直ちに死亡届の情報を税務署に通知する。当該通知によって税務署は亡くなった人の調査(税務署内部)に入る。生前その人が高額納税者であるといったように、相続が発生する可能性が高い場合はその人が所得税の確定申告をしていれば、遺産の内容は初期の調査で概ね把握できる。しかし、相続人や他にも資産を所有していれば税務署内部だけでは把握できない。故に亡くなった人の遺族に税務署が直接問い合わせることになる。では、お尋ねが送付された場合には、必ず回答しなくてはならないのかと言うと、そうでもないのだ。回答する必要が無い場合は、相続について税理士に相談し、既に相続税申告の手続きをしている場合のみだ。
お尋ねが届いたら何をするべき?
回答の有無に関しては明確な罰則規定はないものの、提出がない若しくは虚偽記載をして提出した場合には、加算税(罰金に相当)が課税される可能性がある。
もし、税務署から相続税のお尋ねが送付されたら、一人で悩まずに税理士に相談すれば良い解決策を提示して貰えるはずだ。但し、お尋ねが送付された段階において、相続税の申告期限が迫っていることを忘れてはならない。