一緒に暮らすペット達は家族同然。そんな我が子のようなペットが亡くなったときの飼い主さんの落胆は大変なものです。
1960、70年代は「外猫5年家猫10年」と言われていましたが、今は当然もっと長生きです。そこで90年代から盛んに利用されるようになったのが、ペット専用墓地でした。家族の一員として育ててきた我が子が亡くなったとき、役所に届けると同時に引き取ってもらうのが当たり前だった時代から、人間と同じ様に、お墓に埋葬してあげる時代になったのでした。
トラブルが絶えなかったペット墓地
ただ、人間と「同じ」墓に埋葬することは、ほとんどの自治体が許可していませんでした。一般墓苑を利用する墓の所有者の理解を得るのは大変だったのです。そこで「ペット専用」の墓苑を運営する会社が現れたのです。ペット専用墓地は、しかしトラブルが絶えませんでした。法律上は「一般廃棄物」であるペット達。人間のように自治体の許可を得なくても火葬も埋葬もできます。その為、比較的容易に運営を始められるかわりに、行き詰まってくると突然閉苑してしまったり、飼い主の心に付け入るような高額な区画料を請求したりする業者が出てきたのです。
そんな中から、かわいい我が子をきちんと弔ってあげたい、という飼い主達の思いを、各自治体は真剣に考えなくてはならない時代に変わってきました。
ペットを飼い主と一緒のお墓に埋葬する
それが今、「飼い主さんと一緒にお墓に入る」という究極の選択を可能にしています。時代の理解を得られるようになってきた事も事実ですが、ペットも飼い主さんも長生きし、年をとり、終活のかたちが変わってきたことが大きな理由でしょう。飼い主さんが亡くなったあとに残される、長生きのペットたち。かつては自治体が引き取っていましたが、今は「終生飼養」が義務づけられ、自治体がペットの引き取りを拒否出来る様になりました。それと呼応するように、ペットの終活プランを考える飼い主さんが増えています。
個別で火葬してくれるようになってきた
今まで主に、何匹ものペットたちを合同で火葬し弔っていた自治体も、そんな飼い主さんの要望に応えるように、個別の火葬を実施しています。遺体をまとめて火葬し合同埋葬するのは費用も安くなりますが、どれがかわいい我が子の骨か分らなくなってしまいます。葬儀にかかる費用が高くても、7割の人が火葬後の返骨を希望するといいます。火葬後の返骨を希望するということは、一体一体個別に火葬しなければならずコストがかかりますが、それでも、一緒にお墓に入れると思えば、飼い主さんにとっては値段ではない価値があるのです。
最期に…
ペット達を一般的な葬儀のかたちで弔い、火葬する。そして、飼い主とともに埋葬される。そんな究極の弔いのかたちが、もうすでに主流になりつつあるようです。
数年前には、ペット型ロボットAIBOの葬式に100台の「動かなくなった」AIBO君たちが各地から集められ、「新型AIBO」の司会でお葬式が執り行われたとか。命あるいきものも、ロボットも、いつもそばにいてくれた同じ家族。面白い現象、と笑うのは飼い主さんに失礼というもの。家族みんなが納得出来る最後のかたちを、自由にカスタマイズ出来る時代なのです。