少子高齢化の影響で「お墓の管理をしてくれる人がいない」、「遺族に迷惑をかけたくない」等の理由で、永代供養墓を考える人は増えています。永代供養墓は、お寺が責任をもって管理と供養を行ってくれ、墓石代もかからないことから、今の時代背景にマッチした供養の一つと言えるでしょう。しかし、一見楽なように見える永代供養墓でも、トラブルは少なくありません。永代供養墓で失敗しない為に、デメリットを知っておくことが大切です。その上で、家族や親戚間でよく話し合って決めることが、永代供養のトラブルを回避することにつながります。
永代供養墓が選ばれる理由とは
永代供養墓には、いくつかのメリットがあります。一つは、墓石代がかからないということ。永代供養墓は、個人のお墓を希望しなければ、他の人と一緒のお墓や納骨堂に入ることになります。必要な費用は、お寺や納骨方法によって違いはありますが、およそ30万円~50万円が相場となっており、個人でお墓を立てる供養と比較すると格段に費用を安く抑えることができます。お寺によって違いはありますが、基本的に一式料金を支払ってしまえば、その後お金を払うことはありません。
もう一つのメリットは、何らかの事情で遺族がお墓参りに行けなくても、お寺ですべての管理をしてくれるということです。地元から離れて暮らす家族や、遺族が高齢になってお墓参りに行くのが困難な人にとっては、とても助かるでしょう。また、永代供養墓は交通機関が利用しやすいような場所にあることが多く、比較的気軽にお参りすることができます。
このようなメリットから、費用の面や遺族の労力の負担を考えて、生前から永代供養墓を希望する人が増えているのです。
永代供養でよくあるトラブルとは
永代供養で起こりがちなトラブルは、契約時の条件の確認不足から起きることが多いです。たとえば、お寺によって違いはありますが、永代供養は永遠に供養してくれるわけではありません。一般的に、33回忌あるいは50回忌を終えた遺骨は処分されてしまうことが多いのです。処分されてしまったあとでは取り返しがつきませんから、事前にきちんと確認しておく必要があります。
また、共同墓に入る場合など、供養の形式によっては、一度遺骨を納めると二度と取り出せない場合があります。安易に永代供養をして、後から「これでよかったのだろうか」と後悔するケースも少なくありません。故人が、生前から希望する永代供養墓を予約しているような場合は、こういったトラブルは起こりにくいのですが、故人の供養方法を遺族が決める場合に、意見の食い違いなどでトラブルに発展してしまうようです。
トラブルに巻き込まれないために注意しておきたいこと
永代供養墓でトラブルに巻き込まれないためには、事前の確認が非常に重要です。どのような供養の方法なのか、永代供養にかかる費用はどのくらいなのか、ということを必ず確認します。信頼できるお寺がない場合は、複数のお寺に相談して比較検討を行うのが良いでしょう。実際にお寺を見学して決めるという人も多いです。
また、遺族間での話し合いをきちんと行うことも大切です。遺族間で、特にトラブルになりやすいのが供養費の問題。話し合いに参加していない親族が、「そんな話は聞いていないから、供養費は払わない」となり、話がこじれてしまうケースがよくあります。供養費がいくらかかるのか、だれがどのくらい負担するのか、事前に決めておくことがトラブルを回避するポイントです。
最後に…
永代供養は、遺族の負担を減らすことができ、メリットの大きい供養方法のように思えますが、後々トラブルに巻き込まれる可能性も否定できません。「楽だから」と安易に選択するのではなく、遺族とよく話し合い、全員がきちんと納得したうえで決めるのが、トラブルを回避する方法と言えます。