最近、テレビやインターネット等の様々な媒体で話題となっているタワーマンションだが、ステータスの観点以外で相続税対策としての有効性も注目され人気を集めている。タワーマンションとは何かという点については、当コラムでは省略するが、タワーマンションに関する相続税の節税対策としては、次に掲げる四つの効果が期待できる。
タワーマンション購入が相続税の節税対策に有効な4つの理由
(1)不動産であるので、土地の評価額を時価よりも低く算定できる。
(2)一棟当たりの戸数が多い為、土地の評価額を低く算定できる。
(3)低層階であっても高層階であっても、占有面積が同一ならば評価額は変わらない。
(4)人気が高い為、流動性が高い。即ち直ぐに売却出来る為、現金化し易い。
高層階や角部屋、日当たり良好な部屋など、好条件であればあるほど時価は高額になる
タワーマンションを購入する場合、最も節税効果が期待できるものは高層階を購入することだ。高層階は人気が高く、時価も人気に比例して高額になる。時価に対して相続税の評価額はどうかと言うと、最大で80%程度の評価減が可能となる。つまり、時価と相続税の評価額の乖離を利用できるのだ。人気が高くなるのは角部屋であったり、日当たりが良好な南向きであったり、更には最上階で見晴らしが良い等の条件があるが、その条件に合致した部屋だと、時価は当然の如く高額になってくる。
しかし、相続税の評価額はこのような条件は一切考慮されない。具体的に言えば、1億円で購入したタワーマンションの一室が有るとして、その一室の相続税の評価額は2千万円程度に減額することが可能となるのだ。1億円の現金をそのまま持っていたとしたら、1億円に相続税が課税されてしまう。その1億円でタワーマンションを購入すれば、2000万円に相続税が課税されるため、8000万円の節税効果が可能となるのだ。
相続税対策「タワーマンション購入ブーム」に対して取った国税庁の対応
しかし、税務署は甘くはない。
2015年11月、国税庁は各税務署にタワーマンションの節税対策が、租税回避行為に当たるか否か調査せよとの通達(財産評価基本通達第6項)を出している。それは、次に掲げる案件が有ったからだと言われている。
ある被相続人が亡くなる直前に、本人名義でタワーマンションを購入した。亡くなった後相続税を低い評価額にて申告・納税し、全ての手続きが終わった直後に当該タワーマンションを時価で売却した。この件は税務署から租税回避行為とされ、否認を受けたと聞いている。過度な節税対策は止めておいた方が良いだろう。
とはいえ、やり方次第ではまだまだ有効なタワーマンション購入による節税対策
ただ、過度な節税対策としてではなくとも、今現在でも十分な節税対策となっているので、考慮するのも一考に値するものと思われる。ただ、前述のとおり税務署も対策を打ち始めているので、慎重に判断するべきだ。その際には、個人で悩まず税理士に相談し、最善な対策を練って貰うことを勧める。