相続に絡む問題で、最も多いもの。それは遺産分割協議である。ただ、揉めているばかりではなく、相続人達が納得のうえに速やかに解決した遺産分割協議もそれなりにあるのも事実だ。揉めずに済めば最良なのだが、それは殆ど願望に近かった。だが、最良の終活と円満解決な相続は同義であると筆者は考えており、可能な限り揉めずに円満解決を目指すべきではないだろうか。今回は、遺産分割の方法について綴ってみたい。
「現物分割・代償分割・換価分割」とは?
遺産分割方法は三つある。「現物分割」「代償分割」「換価分割」の三つだ。
「現物分割」とは、最も一般的な分割方法で読んで字のごとく、相続財産を種類ごとに分割する。例えば、相続人が配偶者と子A子Bの三人だったとして、土地は配偶者に、株式は子Aに、現金預金は子Bにといった具合だ。
「代償分割」とは、特定の相続人に多額の相続をし、他の相続人に対しては公平を期すために代わりとなる財産を相続させ、相続人間の分割割合を調整する方法である。被相続人が事業を営んでおり、事業承継させるため事業の跡取りとなった相続人に自社株や自社の資産を相続する場合に用いられることが多い。前述の例で見ると、子Aに自社株並びに自社資産を相続させ、配偶者と子Bに現金や有価証券を相続させることで不公平な部分を調整することになる。
「換価分割」とは、現金預金を除く全ての相続財産を売却して現金化し、各相続人に分配し相続する方法だ。相続財産が相続人達にとっては利用価値の無い土地ではあるが、人気のある場所に所在するためにすぐにでも売却可能である場合、用いられることが多い。但し、売却することになるので、所得税が課税される可能性が高いことに注意する必要がある。
「現物分割・代償分割・換価分割」のそれぞれのメリットとデメリット
ここで、それぞれのメリットデメリットについて触れてみると、「現物分割」は、遺産分割協議が揉めなければ、時間もかからず最も合理的なであることがメリットとなる。デメリットは、一旦揉めてしまうと中々収集がつかなくなってしまう方法であることだ。
「代償分割」は、被相続人が事業を営んでいて特定の相続人に事業を承継させる場合、合理的であることがメリットとなるが、他の相続人に分配する財産が無ければ、不公平な状況となってしまうことがデメリットだ。
「換価分割」は、現金化することで相続人達に対して平等に財産を分配できることがメリットだ。デメリットとしては、売却時には譲渡所得に該当する場合、所得税が課税されることだ。
最後に…
遺産分割の方法について、それぞれメリットデメリットがあるが、自分達にとって一番適している分割方法を選択し、合理的で円満な解決を目指していって欲しいと願う。その為には、自分達だけで悩まず税理士や弁護士等の専門家に相談すれば、より良い結果を得ることが出来るはずである。