最近、駅前の一等地や住宅街の一角に、コインパーキングが増えてきているように見受けられる。実はコインパーキングに限らず、月極駐車場も含めると貸駐車場は相続税対策に有効な手段であることをご存じだろうか。今回は、相続税対策としての貸駐車場について綴ってみたい。
需給バランスが崩れてきたことでリスクが増大したアパート経営
相続税対策の内、比較的知名度が高いものは賃貸建物(貸アパート・貸マンション)の敷地に供されている土地の相続税評価額の特例であろう。
要件を満たせば、最大で土地の相続税評価額が70%程度削減できる規定だ。故にここ数年、賃貸アパートの建設ラッシュとなり、空き地にアパートが乱立している状況を目にした方も居るものと思われる。但し、賃貸アパートにもリスクがあり、更に乱立した影響で供給過多となっている状況では、あまりお勧めできる対策では無くなってきているのかもしれない。そこで注目されてきているのが、土地を貸駐車場とすることなのだ。
アパート経営と比較した駐車場経営のメリット
空き地に賃貸アパートを建設し、運用することで相続税対策とするには、初期費用として建設費を始め多額の経費がかかる。現金で一括払いできれば良いが殆どの場合には、銀行から土地を担保とした融資を受けなければならなくなる。更に、前述のように賃貸アパートは供給過多状態であり、入居者の募集も無料とはいかない。しかし、貸駐車場ならば初期費用も賃貸アパートと比較して安価に済む。
相続税対策としての貸駐車場については、次の要件の内、どちらか一つを満たせば良い。第一に青空駐車場であること。第二に敷地をアスファルト舗装にしていることだ。青空駐車場とは、敷地を砂利敷きとし、車両を駐車する部分にロープを張っている駐車場のことだ。初期費用が安価で済むが、相続税対策としては、あまり有効とは言えない。敷地をアスファルト舗装した場合だが、初期費用が舗装代金として、1㎡辺り5000円程度かかるが、相続税対策としては、相続税評価額が条件にもよるが最大で50%程度削減できる。更に、固定資産税の削減も可能となるため、相続税対策としては、アスファルト舗装の貸駐車場とすれば、効果が高いものと思われる。
コインパーキング経営は?
前述のコインパーキングだが、精算機や車止め等の機器類が100万円程度かかるとされている。敷地をアスファルト舗装していれば、相続税対策としての効果が高いだけでなく、駅に近いような立地条件が良ければ、高い収益性が見込められるので、有効な不動産投資にもなるだろう。当然収入増にも繋がるが、その場合は所得税や個人事業税についても考慮しなければならなくなるので注意が必要だ。しかしながら、相続税対策並びに空き地の有効活用としての側面から、考慮するのは充分に有効であろうと思われる。
残された家族に対し、確実な収入源を残しておくのも一考に値すると考える。その際には、税理士等の専門家に相談しつつ判断すれば、良い結果に繋がるはずである。