もう15年以上昔のことになるので、時効だと勝手に決めつけてここで告白してしまいます。
私はある業者さんに嘘をついて、ある品物を配送してもらったことがあります。それは位牌でした。
なんと法事と通夜がバッティング
その頃我が家は大変でした。まず70代だった私の両親が2年もたたずに相次いで亡くなりました。その上母の葬式の翌々日に舅が倒れるという事態に…。どうなるかと思っていた舅は、幸いなことに半年ほどするとある程度の小康状態を保っていられるようになりました。
ベストチャンスだと思った私たち一家は、私の両親の3回忌と一周忌を一緒に田舎ですることにしたのです。ところが法事の2日ほど前でした。あれだけ安定していた舅があっけなく他界し、法事の日がお通夜ということになってしまいました。
如何ともし難い事情の元に…
何もかも準備してしまっていたので、日程を変えるわけにはいきません。時間がぎりぎりで東京の仏壇にある位牌を親戚に取りに来てもらうわけにもいきません。主人と私が親の通夜を欠席するわけにもいきません。位牌をどうしよう…。
切羽詰って位牌を緩衝材をたっぷり巻いて箱に詰め、その箱を座布団で巻いて荷造りし、黒猫のロゴで有名な宅配業者の元へ持って行ったのです。受付の女性社員に「お線香を入れてあるので壊れ物でお願いします」言ったところ、彼女はなぜか厳しい顔で「位牌じゃないでしょうね」と図星を言うのです。焦りましたが素知らぬ顔で「いえ、お線香です」と押し通しましたが胸がドキドキしました。
結局受け付けてもらい事なきを得ました。
各会社によって異なる送れないものリスト
現在でもその会社のホームページには『送れないものリスト』に、危険物や現金と一緒に位牌や遺骨も載っています。また別の会社も位牌は誓約書を書いてもらう、遺骨はダメというところもあります。かと思うと位牌も遺骨も梱包さえしっかりしてくれれば良いという会社もあるのです。
あのころは調べる余裕すらなかったので仕方なかったとは思いますが、位牌や遺骨の扱いは会社によってそれぞれです。受け付けない理由は貴重なものであること、壊れたりなくしたら取り返しがつかないことだそうです。でも高齢化の進む現在、位牌や遺骨を運ぶことは増えているように思います。そして貴重で壊れやすいからこそ体力や気力も必要で、運べる人も限られるのです。できれば各会社足並みをそろえて故人や遺族の思いを全うさせてほしいと心から思います。