終活について関係が有るかと問われれば、有るとも言えるし無いとも言える。何とも微妙な言い回しになるが、相続が絡むと決して避けては通れないものが有る。
それは、相続税・贈与税に関する税理士報酬だ。
相続税申告書の作成は素人には無理
自分で相続税の申告をすると言い切った方が居た。お金が勿体無い。税理士(弁護士も含む)に払うくらいならば、税務署に払うほうが増しだとも言っていた。結果は、一ヶ月で無条件降伏状態となり、当時筆者が勤務する税理士事務所に泣きついてきた。ある程度知識が有っても、相続税申告書に記載する内容は、専門家でなければ作成は無理だ。
更に、相続財産の評価や相続税の計算についても同様だろう。結果的に専門家に相談しつつ、申告業務を含む全ての手続きをそのまま依頼した方が効率的なのだ。しかし、上記の方の言い分にも一理あるのは事実である。何故ならば、相続財産の金額に応じて税理士報酬も多額になるからであり、弁護士への報酬も絡むとかなりの負担となるからだ。
税理士報酬費用の相場は?
平成13年の税理士法改正により、税理士業務報酬規程が廃止された。当該規定によって、税理士報酬は一定の制限が有った。廃止された後は、税理士の裁量により自由に報酬を決定することができるようになった。税理士によって報酬額は様々だが、大体の目安となる相続税の税理士報酬額は次のとおりだ。
基本料金(10~20万円) + 遺産総額 ✕ 0.5~1.0%%
もう一つの目安として、既に廃止された税理士業務報酬規程が参考になる。何故かと言うと、殆どの税理士が税理士業務報酬規程を継続して運用しているからで、改正前と何も変えずに運用している例も珍しくない。何れにせよ、報酬のポイントとなるのは、遺産総額だ。遺産(相続財産)の金額に応じて、税理士報酬も増加していく。
税理士次第では相続税の節税額が大幅に変わる
また、税理士によっては上記の報酬額に成果報酬も加算される場合がある。成果報酬とは、節税に成功した場合、節税額の何割かを報酬として頂くということになる。この成果報酬についてだが、相続に関して税理士に依頼する場合には、特に注意して欲しい。報酬額が多くなり、折角節税に成功してもその節税額の何割かを報酬として支払う結果、節税の効果が薄くなってしまいかねない。成果報酬を加算しない税理士も居るし、また、加算したとしても、安価に済ませて貰える税理士も居る。税理士に相続税の手続きを依頼する場合には、報酬の件も相談し、納得がいくまで説明して貰うことを勧める。
最後に税理士報酬に関する留意すべき点は、税理士報酬の金額だけで判断すべきではないということである。相続税の節税効果や、税務署との折衝等税理士の腕と経験によっては、相続税額が数百万から数千万も違ってくるからだ。どちらを優先するかは、人により様々であろうが、トータルに考えて自分に有利な方法を選択すれば良い。有能な税理士はきっと力になってくれるはずだ。