突然だが、非嫡出子の割合というのはどれくらいなのだろうか。と、考えたことがある。
自然界では(野生動物に結婚もなにもないとも思うが)非嫡出の割合は、70%を超えるという。人間に例えれば、法的な婚姻関係にない男女間の子が、全体の70%を超えてしまうということになる。
某書籍にその旨が記載されていたのを見て、不謹慎ではあるが少々納得してしまった。
稀なケースではあるが、隠し子が発覚したときの相続トラブル
相続の手続きを遂行するにあたって、ご遺族の家庭内の問題に踏み込まねばならない場合があり、その際に非常に頭の痛い問題が発生することがある。
それは非嫡出子が存在した場合だ。今回のコラムは非嫡出子について綴ってみたい。
平成25年において民法が改正され、認知された場合にのみ嫡出と非嫡出にかかわらず相続権を同等とし、公平となった。平成24年以前は、認知の有無に関わらず非嫡出子の相続権は、嫡出子の半分とされていた。
生前に家族と話し合いをせずに亡くなった
筆者が税理士事務所に勤務していた時、H氏という女性の相続を担当した。
H氏の父親(A氏)が老衰で亡くなったのだが、A氏は生前に筆者と相続について相談し、公正証書遺言を作成していた。
作成時において、A氏から不倫相手との間に出来た男子(B氏)が居て、既に認知済みであり、B氏にも相続させる旨を記載したいと依頼された。筆者としては断る理由が無いので、その旨を遺言状に記載し、公正証書とした。
後日、筆者は早めにB氏のことをH氏に公開し、相談した方が揉めずに済むと提言した。しかし、A氏の生前にB氏のことを公開せずに亡くなってしまった。
守秘義務の問題もあるので、詳細はここには綴れないが、遺言状が公開されたとき、H氏は大変驚かれると同時に立腹された。H氏にとっては、腹違いの弟となるB氏の存在が許せなかったらしく、相続権を巡って即時裁判となった。結果は、B氏が相続権を放棄することで和解となった。
先送りだけはしてはいけない終活
民法が改正される以前の問題であり、相続財産も少額であったので裁判沙汰になっても大きく揉めることはなかったのだが、もし、相続財産が多額であった場合では異なった結果になっただろう。
非常に微妙な問題であるだけに、ご遺族にとっては感情的になり易い。
無理もない話だが、現在では法的に相続権は同等である以上、感情に流されず冷静に対処せねばなるまい。
最後になるが、このような問題は頻繁に有ったわけではない。あくまでも一例に過ぎない。なによりも重要な事は、事前に家族間で協議し、問題を先送りすることなく円満解決を目指すのが最善の方法であり、良い終活である。
起こってからでは遅い相続トラブル。トラブル回避の終活とするためには、労を惜しむべきではないと思うが、如何だろうか。