身近な人が亡くなった場合、驚いたり悲しんだり反応は様々なものがある。
人として当然のこととは言え、法的な手続きはご遺族の感情的な都合などお構いなく待ってはくれないものだ。
法的な手続き以外においても、急を要するものが幾つかある。
その内、葬儀社の選定が最も頭の痛い問題の一つであろう。
病院から紹介される葬儀社は割りと高額になる傾向が…
例外もあるが、病院から葬儀社を紹介されることが多いと思う。
筆者の経験だと、親族の遺体が病院の霊安室に安置され、簡易な供養をした直後に葬儀社の担当営業が来て案内を始めたことがあった。
筆者は故人の生前に葬儀社の選定を済ませておいたので、病院に紹介された葬儀社には依頼しなかった。
しかし、故人の生前に葬儀社の選定をしていなかった場合にはどうするか。当コラムではこの場合について綴ってみたい。
相見積を取らないと葬儀社の言い値で決まる可能性もある!
筆者は税理士事務所に勤務していた時、ある葬儀社とその葬儀社に飲料(酒・清涼飲料水)を納入していた業者の税務経理を担当していたことがある。
詳細は守秘義務の問題もあるのでここでは触れないが、通常の価格と比較し、かなり高額になってしまう印象を受けていた。
言い方を変えれば、ぼったくりに近い印象を受けた。
どこの葬儀社も同じか否かは正直今でもわからない。しかし、葬儀社が優良か悪徳かを見分けるのは、やはり最低でも2業者以上から相見積もりを取って、内容をしっかりと説明してもらうことが一番良い。
何も知らずにそのまま葬儀社に丸投げでは、葬儀費用が相当高額になり、ご遺族にとって金銭的な面だけでなく、精神的な負担も増加する。これでは故人も浮かばれないだろう。この辺りが、葬儀社選びで気をつけなければならないだろう。
しかし葬儀費用が高くなると、その分相続税が控除されるというメリットもある!
しかし葬儀費用が高くなることで一つメリットも有る。それは相続税に関連している。
実は相続財産から相続税の基礎控除額を差し引き、更に葬儀費用も経費として相続財産から差し引くことが認められている。
事実上葬儀費用の金額の上限は無い。これも筆者の経験だが、あるご遺族が考えられる限り贅沢極まる葬儀を行った。全てを最高級品で設え、葬儀社への支払額も相当高額だった。
当時筆者は、これで税務署が経費と認めてくれるのか戦々恐々としていた。しかし、全額認められたので、かなり驚いた記憶がある。これが葬儀費用が高くなることのメリットだ。
相続財産が相続税の基礎控除額より多いか少ないかによって、高い葬儀か安い葬儀か選ぶべき!
つまり、高額な葬儀費用を支払い、最終的に相続税を節約できる方を選択するか、葬儀費用を安く済ませ、相続税が若干高額になる可能性がある方を選択するかの違いである。
勿論、相続財産が相続税の基礎控除額より少額な場合には、安価な葬儀社を選定すべきだし、更にどちらも安く済ませる方法もあるが、それらの全ては税理士と事前に相談してほしい。
最後に、相続財産から経費として差し引かれる葬儀費用だが、本葬儀にのみかかった費用に限定される。金額そのものの上限はないが、内容が問題なのだ。最近の告別式に於いては、初七日、四十九日の法要を同時に行うことが多いと聞いている。この法要にかかる費用は本葬儀にかかる費用とは認められないので、注意されたい。