親が亡くなると、通常は通夜、葬儀そして納骨とほっとする間もなく、やらねばならぬ仕事が遺族には目白押しだ。
特にスムースな相続の手続きは大事だ。
相続財産が多種類かつ高額になる場合には、色々大変なであるが、「相続財産は実家の土地と家だけ(あるいは家だけ)さ」と、たかをくくっている場合にも注意は必要だ。
遺産は自宅だけとなると、ついついその価格ばかりに注目されがち
不動産の相続というと財産の価格ばかりが注目されがち。確かに、土地はいわゆる路線額、持ち家であれば固定資産課税評価額の証明があれば遺産分割協議書の財産目録は完成するため、いざ所有権移転の手続きをする段になるまで登記については、無関心あるいは忙しくて手がまわらないことも珍しくないようだ。
筆者の友人もそんな人間のひとりだった。亡くなった父親の土地と建物の相続登記を「自分で登記」するつもりでいる。母親はすでに他界しており、ただ一人の子である友人が単独相続人であるから、手続きは容易なはずである。
登記自体がなされていないと、そもそも相続を始められない
ところが、友人が念のために実家の持ち家の登記簿の写しを取ろうとしたところ、面倒なことが判明したのだ。なんと、建物の登記がなされていなかったのだ。
つまり今回、友人が所有権移転の登記をするためには、その前提として「表示の登記」と「保存の登記」の2つが必要なのだ。それに加えて「表示の登記」は、土地家屋調査士、「保存の登記」は司法書士と専門家のテリトリーが分かれている。また、持ち家が本当に親の所有であることを証明する書類の添付が必要だ。
友人は土地については、以前登記の写しをとっていたが、実家については、老朽化しており固定資産税の課税評価額も土地に比べれば微々たるものなので、迂闊にも登記簿の写しをとろうとしてなかったのだ。登記の費用を節約するために、無登記建物はそれほどは珍しくはないらしい。固定資産税を払っていたためか、問題は表面化しなかったようだ。
事前に調べておくことをオススメします!
「この忙しいときに、なんてこった。」としきりにぼやいていた友人だが、相続も不動産取引の一種であることは間違いない。
親の生前に該当する不動産の登記をあげて(不動産の登記簿の記載事項の写しをとる)おくべきだったのだ。
不動産取引には登記簿調べが第一歩であることを改めて再認識したいものだ。